アラサーのマッチングアプリ婚活/VSナイツ土屋、キミに決めた!①
ぐわあああああん、いやだあああああ!
自分の設定したスケジュールを見て泣きそうだ。
なんせ、ここからひと月で数日前に存在を知った15人と連日会わないといけないのだ。
早く仕事を終わらせた日に、緊張で吐きそうになりながら知らない人と待ち合わせするなんて。
はああああああああ!!
なんなの、意味わかんない。
さっさとお家に帰って布団にくるまって録画したあちこちオードリーを見たいんだ。
ああああああああああああああああ。
しかし、私もいい年した大人だ。
いくら思考力を捨てていたって、自分の言葉には責任がある。
お誘いをぜひぜひ!と受けたからには、ぜひぜひって言いましたよって顔をして決められた時間に決められた場所にいないと女が廃るというものだ。
お昼にカットソーに落としたカレーのシミをショルダーバッグで隠しつつ、自ら切腹されに向かう武士のように気高い脳内で待ち合わせ場所に立つ。
来るなら来い!
緊張による胃の収縮と吐き気に見舞われながらじりじりとその時を待っていると、男性が「立花さんですか?」と声をかけてきた。
…!
よかった!
声を、かけてきた。
つまり実物の私を見ても一緒にご飯を食べるのもやぶさかではないと判断してくれたということだ。
ありがとう、心優しき男性。
好感度爆上げだよ。
たぶん、斧を池ポチャしちゃった木こりとか、灰を撒くことで植物の成長を促進した爺さんとか、おにぎりを追っかけて裸足でかけてく陽気な爺さんとか、その辺の人と仲良くなれるよ君なら。
拝みたいような気持ちで振り返ると、お笑いコンビ「ナイツ」のツッコミ担当、土屋に似た人が立っていた。
つづく