アラサーのマッチングアプリ婚活/ VSナイツ土屋、キミに決めた!③
マッチングアプリで出会って初めてデートする相手の土屋さんは、私の友人にはあまりいないタイプの人だった。
甲高い声の早口で喋り、饒舌で、テンションは高いのだが表情はあまり動かず、机を見つめていてあまり目が合わない。
仕事はIT系で、会社では隣の席の同僚の書類が自分のゾーンを侵食しているのを見るとイラッとくるらしい。
平日夜の暇な時間には、日々の会話の参考にしようと、落語を聞いたりマツコデラックスの番組を積極的に見ていて、毒が強すぎる有吉の芸風は苦手だそうだ。
几帳面でこだわりが強く、不器用で生真面目な印象の土屋さん。
大雑把で、気分の上下が激しく、なりゆき任せに生きている私の気性は、彼にはどう見えるのだろうか。
お酒を愛し、休日には酒どころへ足を伸ばすのが好きだという。
「この前は鹿児島の桜島に行ってきました」
わ、いいですね!
私、テレビとかで火山灰を見ると絶対、ポケ〇ンのゲームと同じだ!って思っちゃうんですよ。
小さい頃は分からなかったけど、ゲームを作った人が、灰が降る鹿児島に似た街をゲームで再現したってことなんですよね。
ゲームを先に知っちゃったから、火山見るとポケ〇ンじゃん!ってテンションあがっちゃうんです。
「え、あの、すごい、あの僕、ホントは今日いう気なかったんですけど、実はこういうものなんです。」
土屋さんが差し出した名刺には、見慣れた黄色いキャラクターがポーズを決めていた。
つづく